【合格講座4回目】日本の世界遺産(前編)登録年1992年~1996年

合格講座

前回は「世界遺産の基礎知識(後編)」ということで、世界遺産の概念や登録基準、そして世界遺産に登録されることで影響が出る観光業について学習しました。

 

 

今回は合格講座の4回目ということで、日本にある世界遺産(23件)のうち、登録年の古い順から8つを解説します。

 

学習する際はやみくもに覚えようとするのではなく、

 

ポイントを絞って理解すること
キーワードを絞って覚えること
興味や関心がありそうな箇所に注目すること

 

が重要です。

 

この講座では世界遺産について、要点を5つのポイントとして絞りこんでいます。また、重要なキーワードは赤字で表記しています。

 

それではさっそく解説していきます。国内遺産は全23件が対象ですから、1つ1つ理解していきましょう。

 

【合格講座4回目】日本の世界遺産(前編)登録年1992年~1996年

法隆寺地域の仏教建造物

登録名 法隆寺地域の仏教建造物群
所属国 日本(奈良県)
登録年 1993年
登録基準 1・2・4・6
分類 文化遺産
キャッチフレーズ 現存する世界最古の木造建築
関連する人物 聖徳太子
キーワード 法隆寺/法起寺/金堂/エンタシス/三重塔
法隆寺は、国内で最初に登録された遺跡の1つです。奈良県奈良市にあります。

現存する世界最古の木造建築物であり、法隆寺の47の建造物と、近隣にある法起寺の三重塔が登録範囲に含まれています(全部で48か所)

法隆寺を建立したのは、推古天皇と聖徳太子。建物の思想には、南北朝時代の中国や、百済、高句麗といった朝鮮半島からの影響を受けています。

また、古代ギリシャ建築の特徴の1つであるエンタシスが、用いられています。

 

「現存する」という部分が重要なキーワードです。本当の意味での最古の建築物ではありません。

 

1 現存する最古の木造建築物である
2 法隆寺の47の建造物と法起寺三重塔が登録されている
3 法隆寺を建立したのは推古天皇と聖徳太子
4 建築には中国や朝鮮半島の思想が反映されている
5 古代ギリシャ建築の特徴の1つであるエンタシスが用いられている

 

姫路城

登録名 姫路城
所属国 日本(兵庫県)
登録年 1993年
登録基準 1・4
分類 文化遺産
キャッチフレーズ 白鷺城の異名で知られる壮大な木造城郭建築
関連する人物 豊臣秀吉・池田輝政
キーワード 白鷺城/一国一城令/廃城令/空襲/昭和・平成の大修理

国内で最初に登録された遺跡の1つです。兵庫県姫路市。

姫路城の別名は白鷺城。

16世紀後半に豊臣秀吉が天下統一の過程で入場。その後、関ケ原の戦いを経て、池田輝政の居城になります。この輝政の子(長男)と結婚したのが千姫。のちに戦姫は徳川家康の都合で離縁させられ、豊臣秀頼に嫁ぎます。

時の政権の政策に翻弄されたり空襲の被害にあったりと、とにかく災難の多いお城ですが、昭和、平成と2度にわたる大修理を経て、現在も美しい景観で観光客を魅了しています。

 

天守閣を持つお城としては日本で唯一世界遺産に登録されています。天守閣という条件を外すと、二条城とか首里城なども登録されてくるので、唯一とは言えません。

1 別名は白鷺城
2 城主は赤松氏⇒豊臣氏⇒池田氏と変遷
3 曲輪(くるわ)や狭間(さま)、石落としなどの仕掛けがある
4 何度も危機に見舞われている(一国一城令・廃城令・空襲など)
5 2度にわたる大修理(昭和の大修理…天守閣の解体、平成の大修理…天守の保全)

 

屋久島

登録名 屋久島
所属国 日本(鹿児島県)
登録年 1993年
登録基準 7・9
分類 自然遺産
キャッチフレーズ 生物圏保存地域にも指定された自然の宝庫
関連する人物
キーワード 植物の垂直分布/屋久杉/縄文杉/花崗岩の土壌/生物圏保存地域
直物の垂直分布が見れれる点がもっとも大きな特徴です。
垂直分布とは、簡単に言えば生物の多様性です。小さい島にもかかわらず最高峰の宮之浦岳は標高が2000m弱ある高峰です。そのため、海岸と山頂の気温差が大きく、結果的に亜熱帯から亜寒帯までの植物が広く分布する島になっています。
島には樹齢1000年を超える屋久杉が自生しており、そのうち最大のものは縄文杉と呼ばれています。
世界遺産登録に先立ち、ユネスコから生物圏保存地域に指定されています。

縄文時代って今から約2,000年以上も前ですよね。諸説ありますが、縄文杉の実際の樹齢は4,000年以上あるというのが定説のようです。

 

1 植物の垂直分布がみられる
2 亜熱帯から亜寒帯までの植物が広く分布する
3 樹齢1000年を超える杉(屋久杉)が見どころ
4 島内でもっとも大きい屋久杉は、縄文杉と名付けられている
5 ユネスコの生物圏保存地域にも指定された

 

白神山地

登録名 白神山地
所属国 日本(青森県・秋田県)
登録年 1993年
登録基準 9
分類 自然遺産
キャッチフレーズ 隆起による独特の地形が生み出した豊かな生態系
関連する人物
キーワード ブナ/地形の隆起/アオモリマンテマ/ニホンカモシカ/クマゲラ
今の白神山地は約8,000年前に現在の姿になったといわれています。崩れやすい地層であること、多雪地帯であること、そして何万年もの間、隆起と崩壊をくりかえして現在のような独特の地形になりました。
ブナはヨーロッパや北アメリカ大陸にも自生していますが、白神山地のブナは氷河期時代に氷河に覆われることがなく、多様な生物系が守られたのが特徴です。
固有種のアオモリテンテマや、天然記念物のニホンカモシカなどが代表例です。なかには絶滅が危惧されているクマゲラ・イヌワシなどの鳥類も生育しているため、環境保護が課題となっています。
なお、白神山地は登録基準9のみで登録されています。

先に説明した屋久島はでしたが、白神山地はブナの原生林です。混同しないようにしましょう。

 

1 ブナを中心とする落葉樹が有名
2 多様な生態系が維持されている点が評価されている
3 固有種のアオモリマンテマが生息する
4 天然記念物のニホンカモシカが生息する
5 絶滅が危惧されているクマゲラ・イヌワシが生息する

古都京都の文化財

登録名 古都京都の文化財
所属国 日本(京都府・滋賀県)
登録年 1994年
登録基準 2・6
分類 文化遺産
キャッチフレーズ 日本を代表する古都の文化財
関連する人物 空海・坂上田村麻呂・足利義満・足利義政・織田信長・徳川慶喜
キーワード 平安京遷都/応仁の乱/比叡山/大政奉還/護国寺/清水寺/金閣寺
京都は794年に桓武天皇が平安京遷都をおこなってから明治維新で東京府に遷都されるまでの1000年以上にわたり、日本の政治・文化の中心地でした。
そのため日本史といえば京都の歴史と思えるくらい重要なでき事が多く、とくに将軍の跡目争いが発端で内戦状態になった応仁の乱が有名です。
大政奉還の舞台となった二条城や、室町文化を象徴するの金閣・銀閣など寺社仏閣の宝庫ですが、火災や戦乱で焼失したものも多く、再建されたものも目立ちます。
ちなみに登録名こそ古都京都の文化財ですが、比叡山延暦寺空海が広めた真言宗の拠点)の所在地は滋賀県の大津市ですので、滋賀県側からも登録されています。

1000年の都ということだけあって、代表する寺社・仏閣が数多くあります。どれが出題されてもおかしくないので、コツコツおぼえていきましょう。3級のテキストには取り上げられていませんが、宇治の平等院鳳凰堂や、豊臣秀吉の花見で有名な醍醐寺なども登録されています。

 

1 日本の古都の歴史が息づく(平安京・応仁の乱・比叡山焼き討ち・大政奉還など)
2 登録は1994年(794年の平安京遷都から1200年)
3 文化財の宝庫
護国空海の広めた真言宗の拠点)
清水寺(征夷大将軍・坂上田村麻呂が建立)
延暦寺織田信長と対立し焼き討ちにあう)
※仁和寺(応仁の乱で一時焼失)
※二条城(徳川慶喜による大政奉還の舞台)
※天龍寺(世界的に有名な石庭)
※鹿苑寺(金閣寺・足利義満が建立した北山文化の象徴)
※慈照寺(銀閣寺・足利義満が建立した東山文化の象徴)
4 京都市が「景観条例」を施工し、景観の保護を推進している
5 滋賀県も登録対象である(比叡山延暦寺

 

白川郷・五箇山の合掌造り集落

登録名 白川郷・五箇山の合掌造り集落
所属国 日本(岐阜県・富山県)
登録年 1995年
登録基準 4・5
分類 文化遺産
キャッチフレーズ 豪雪地帯にある合掌造りの集落
関連する人物
キーワード 合掌造り/養蚕と紙漉き/塩硝/大家族制/互助組織(結)
岐阜県白川村(荻町集落)と富山県南砺市(相倉集落・菅沼集落)にある合掌造りの家屋が世界遺産に登録されています。
日本有数の豪雪地帯ということもあり濃厚には適さない土地であったため、古くから養蚕・紙漉き・塩硝(火薬の原料)の生産などが、おもな地域の産業でした。紙漉き(和紙)については、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。
多くの住民が一緒に暮らす大家族制が伝統であり、そのため一般的な日本家屋と比べて大きい(床面積も広く、天井も高い)のが特徴です。
茅葺の屋根は30年~40年単位で葺き替え(交換)しますが、その際はと呼ばれる互助組織によって行われています。

観光客の増加から地域住民への影響や環境破壊の懸念が高まったため、登録地区内は観光客のマイカーの進入が制限されています。

 

1 日本有数の豪雪地帯にある合掌造りの集落である
2 養蚕や紙漉き、塩硝の生産が主な産業であった
3 多くの住民と暮らす大家族制が守られていた
4 茅葺の屋根は30年~40年に一度の頻度で更新する
5 屋根の交換作業は互助組織(結)によって行われる

原爆ドーム

登録名 広島平和記念碑(原爆ドーム)
所属国 日本(広島県)
登録年 1996年
登録基準 6
分類 文化遺産(負の遺産)
キャッチフレーズ 核兵器(原爆)の恐怖を今に伝える負の遺産
関連する人物
キーワード 産業奨励館/原子爆弾/原爆ドーム/負の遺産
核兵器の恐怖を伝える負の遺産です。登録基準6ので登録されています。
もともとは広島県のさまざまな物産を展示するための産業奨励館(正式名は広島県物産陳列館)でした。この付近に投下された原子爆弾により周辺の建物は破壊されましたが、この産業奨励館だけは原型をとどめました。
なお原爆ドーム単体での世界遺産登録になります。周辺にある平和公園や平和祈念館(資料館)は登録対象とはなっていません。

世界遺産に申請の際は、当事者であるアメリカや日本からの戦争被害を受けた中国などから、登録への直接的な反対活動はなかったものの、懸念の声明が発表されました。

 

1 原爆ドームはもともと広島県の産業奨励館であった
2 アメリカの爆撃機エノラゲイにより原子爆弾(リトルボーイ)が投下された
3 人類が起こした悲劇を教訓として捉える負の遺産である
4 登録基準6のみで登録されている
5 原爆ドームは永久保存されることになった

 

厳島神社

登録名 厳島神社
所属国 日本(広島県)
登録年 1996年
登録基準 1・2・4・6
分類 文化遺産
キャッチフレーズ 古代に創建された神道の聖地
関連する人物 平清盛・毛利元就
キーワード 海上鎮護/弥山/両流造り/寝殿造り/両部鳥居/古色塗り
松島(宮城県)、天橋立(京都府)とならんで日本三景の1つとして名高い宮島に位置しているのが厳島神社です。背後にそびえる弥山(みぜん)とともに信仰の対象として登録されています。
古くからの神道の聖地で、瀬戸内海の海上鎮護の神を祀るために創建されたのが始まりでした。3級の範囲からは逸脱しますが、創建者は豪族の佐伯鞍職(さえきのくらもと)、神様は市杵嶋姫命(イチキシマヒメ)です。これで厳島神社の名前の由来はバッチリですね!
平安時代(末期)には太政大臣の平清盛、戦国時代には有力大名の毛利元就からの手厚い庇護をうけて繁栄しました。
両流造りの本社本殿を中心に、周辺の建物を回廊で結ぶ寝殿造りの形式が特徴です。また、海に浮かぶ鳥居は「両部鳥居」という構造になっており、柱の根元は土に埋まっておらず、自重のみで立っている状態を保っています。

社殿が海上にあるため、台風・高波・高潮などの被害を受けやすいのが大変ですね。。。

1 593年に創建された神道の聖地。海上鎮護の神を祀っている。
2 平安時代の平清盛や、戦国時代の毛利元就の庇護を受け発展した
3 社殿の背後にある山(弥山)は古くから信仰の対象とされた
4 両流造りの本社本殿を、回廊で結ぶ寝殿造りの形式である
5 海に浮かぶ鳥居は「両部鳥居」という柱を支える作りになっている

まとめ

4回目の講座はいかがだったでしょうか。今回は日本にある世界遺産のうち、登録年が古い順に8つを紹介しました。

 

まとめということで、簡単に復習しておきましょう。

 

・国内で最初に登録されたのは法隆寺とその地域・姫路城・屋久島・白神山地である
法隆寺聖徳太子が建立した世界最古の木造建築群である
姫路城は別名白鷺城と呼ばれ、二度にわたる大修理を経て現代に美しさを伝えている
屋久島はさまざまな気候条件を要因とした垂直分布がみられる島である
白神山地ブナの原生林が特徴的で、貴重な生態系が維持されている
京都平安京遷都以来1000年の都と言われ、神社・仏閣の宝庫である
白川郷合掌造り住居は、大家族制・互助組織(結)の伝統を継承してきた
原爆ドーム負の遺産の代表例で、登録基準6のみで登録されている
厳島神社は古くからの神道の聖地で、平清盛毛利元就の庇護を受け発展した

あまり細かく覚えようとせず、ピンポイントに特徴やキーワードを抑えるようにしましょう。次回も引き続き日本にある世界遺産を紹介していきますので、お楽しみに!

 

 

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