【合格講座10回目】総復習と補足事項

合格講座

合格講座10回目、今回で最終回です。

9回目までの講座で一通りの解説は終えていますので、最終回は今までの講義のふりかえりと、理解を助けるための補足事項、そして時事対策の方法などについて話を進めていきます。

 

最終回ですが、内容盛りだくさんです。今までの復習だと思って、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

 

【合格講座10回目】まとめ

要点の総点検

世界遺産の基礎知識

まずは世界遺産の基礎知識の分野からおさらいします。

サイトで解説した以下の項目については、再確認をお願いします。とくに世界遺産の申請条件や登録までの流れはかならず出題されるポイントですので、確実におさえておきましょう。

 

・世界遺産の定義
・世界遺産の分類(概念も含む)
・世界遺産条約(制定の経緯・締結国・日本の参加年)
・世界遺産の申請条件と申請から登録までの流れ
・無形文化遺産と世界の記憶
・その他(登録地域の偏り/登録件数/世界遺産と観光/登録基準)

繰り返しになりますが、この分野は出題比率が高く、また覚えることが少ないので得点源になります。出題方法もパターン化されているので、満点狙いも可能です。

 

日本の登録遺産

日本の登録遺産については23件すべてが出題範囲です。どれが出題されても対応できるようにしておきましょう。配点も高いので、マスターすれば得点源にできます。

文化遺産、自然遺産の学習のポイントは以下の通りです。また、新たな世界遺産の推薦候補とされている暫定リストについても確認しておきましょう。

 

・すべての遺産についてまんべんなく学習しておく
・自然遺産については生態系の特徴や、代表的な動植物をおぼえる
・文化遺産については主要な建造物や関連する重要人物をおぼえる
・暫定リストについては直近で推薦される予定の遺産について確認する

おなじく配点比率が高い得点圏ゾーンです。また海外の遺産よりも馴染みやすく、覚えやすいのもメリットです。試験直前には、集中的に確認することをおすすめします。

海外の登録遺産

出題の可能性が高いのは、そもそもの登録数が多いヨーロッパや中国、そして公式テキストが紙面を割いて紹介している遺産になります。また、複合遺産や文化的景観など、何らかの追加要素がある世界遺産も狙われやすい箇所になります。

よって学習のポイントは以下の通りとなります(追加要素がある遺産については、このページの後半でくわしく解説します)

 

・試験範囲の中で登録遺産が多い国の遺産をおぼえる
※ヨーロッパの主要国(伊・英・西・仏・独)
※中国
・公式テキストでの扱いが大きい遺産をおぼえる
※シルクロード:長安から天山回廊の交易網
※イスタンブルの歴史地区
※エルサレムの旧市街とその城壁群
※アテネのアクロポリス
※ローマの歴史地区
※フィレンツェの歴史地区
・追加要素のある遺産をおぼえる

どうしても覚えきれない方、勉強時間を割けない方については、ヨーロッパの主要国と中国だけに絞りましょう。

分類別にみた世界遺産

複合遺産

複合遺産は自然遺産としての価値と文化遺産としての価値をあわせもつ遺産です。当然認定される件数は少なく、稀少性が高くなっています。

3級の試験範囲として登場している複合遺産は下記の5件のみで、国内にはありません。一通り復習しておきましょう。

 

・ピレネー山脈のペルデュ山
・ウルル、カタ・ジュタ国立公園
・ンゴロンゴロ自然保護区
・トンガリロ国立公園
・マチュピチュ

危機遺産

世界遺産としての価値が、内戦や環境破壊、災害などによって十分に保全されていない場合は、危機遺産リストに登録されます。

政情が安定しない発展途上国や、アフリカ諸国に多い傾向があります。

3級の試験範囲として登場している危機遺産は以下の通りです(2019年3月現在)。危機遺産に登録されてしまった要因を含めて確認しておきましょう。

 

・エルサレムの旧市街とその城壁群
・ヴィルンガ国立公園
・バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群
・伝説の都市トンブクトゥ
・ポトシの市街
・ウィーンの歴史地区

危機遺産は他の分類と違ってリストの変動があります。新たに危機遺産に加わったもの、逆にリストから除外されたものは出題される可能性が高いので、意識しておきましょう。

 

負の遺産

戦争・人種差別など人類が犯した過ちを教訓とするための遺産が負の遺産です。日本の広島平和記念碑(原爆ドーム)など、登録基準6のみで登録されることがあるのが特徴となっています。危機遺産と違って、追加されたり削除されたりすることはなく、基本的には固定の概念になります。

3級の試験範囲として登場している危機遺産は以下の通りです。

 

・広島平和記念碑(原爆ドーム)
・アウシュヴィッツ・ビルゲナウ:ナチスドイツの強制絶滅収容所
・バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群
・ゴレ島
・ロベン島

 

文化的景観

文化的景観は、自然とともに作り上げた景観であったり、自然の要素が文化と強く結びついている景観に価値を認められている登録遺産です。

3級の試験範囲として登場している文化的景観は以下の通りです。数は多くありませんので、一通り確認しましょう。日本から2件、海外では6件が認められています。

 

・紀伊山地の霊場と参詣道
・石見銀山遺跡とその文化的景観
・トンガリロ国立公園
・ウルル、カタ・ジュタ国立公園
・フィリピンのコルディリェーラの棚田群
・アランフエスの文化的景観
・バムとその文化的景観
・ピレネー山脈のペルデュ山

 

複数の国にまたがる遺産

世界遺産の中には登録地域が複数の国にまたがるものがあります。国境付近の自然遺産が大半ですが、ル・コルビュジエの建築作品のように文化遺産が国境を越えている場合もあります。

出題を狙われやすい箇所なので、整理しておきましょう。

 

・ローマの歴史地区と教皇領(イタリア・ヴァチカン市国)
・ピレネー山脈のペルデュ山(フランス・スペイン)
・シルクロード:長安から天山回廊の交易網(カザフスタン・キルギス・中国)
・ヴィクトリアの滝(ザンビア・ジンバブエ)
・ル・コルビュジエの建築作品(日本を含む7か国)

複数の国にまたがっていても、それぞれの国が個別に世界遺産に登録している場合もありますので、注意しましょう。

 

登録基準が1つのみで登録されている文化遺産

文化遺産として登録されている遺産は、基本的に複数の登録基準を満たしています(登録基準6のみで登録される場合が多い負の遺産を除きます)が、レアケースとして登録基準1つのみで登録されているものもあります。

その遺産の特徴が顕著に出ていることになりますので、確認しておきましょう。

 

・長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺跡(3)
・高敞、和順、江華の支石墓跡(3)
・タージマハル(1)
・ハンザ都市リューベック(4)
・シドニーのオペラハウス(1)
・フエの歴史的建造物群(4)

登録基準1のみで認定されている「タージマハル」と「シドニーのオペラハウス」は試験の鉄板です。

補足事項

世界の宗教

世界の宗教について大まかな理解があると、せかけん講座や公式テキストの読みやすさが変わってきます。基礎的な部分についてまとめましたので、参考にして下さい。

キリスト教 世界三大宗教の1つ。イエス・キリストの教えに基づいてパレスチナで誕生。初期のころはローマ帝国内で迫害対象であったが、のちに公認され、さらに国教化された。中世の宗教改革では旧教(カトリック)と信教(プロテスタント)に分派し勢力抗争が勃発した。欧米諸国を中心に世界中に信徒がおり、今日では世界で最も信者が多い宗教となっている。
イスラム教 世界三大宗教の1つ。ムハンマドが唯一神アッラーの啓示を受け、その教えを基に成立。ムハンマドの死後はカリフと呼ばれる後継者を中心として、勢力を急速に拡大した。キリスト教とは聖地を巡って何度も対立している(十字軍との戦い)。現在では中央アジア、アフリカ北部、東南アジアなどに広まりを見せ、民族を超えた宗教となっている。
仏教 世界三大宗教の1つ。インド北東部でガウダマ・シッダールタ(釈迦・仏陀)が悟りを開いたことが起源。四諦・八正道などを唱えて、ガンジス川流域から広まった。大乗仏教、上座部仏教などの類型に分かれ、東南アジアや東アジア、日本にも広まった。
儒教 春秋時代の中国で諸子百家の一人である孔子によって成立。儒教は、五常(仁、義、礼、智、信)という徳性を拡充と、五倫(父子、君臣、夫婦、長幼、朋友)関係を維持することを教義としており、義や礼を重んじる。中国や朝鮮半島、そして日本でも2000年以上にわたって影響力をもつ。
ヒンドゥー教 古代のインドで広まったバラモン教から聖典やカースト制度を引き継ぎ、土着の神々や崇拝様式を吸収しながら徐々に形成されてきた多神教である。近世の教義では、中心となる3大神はブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ。現在のヒンドゥー教はインド全土と周辺国に広がり、信徒は約10億人。宗教人口だけでいえば、世界三大宗教である仏教を上回っている。
ユダヤ教 古代の中近東で始まった宗教。唯一神ヤハウェを信仰。選民思想メシア(救世主)信仰などを特色としており、のちに誕生するキリスト教の原型となった。ユダヤ教の聖典はキリスト教で『旧約聖書』と呼ばれている。
ゾロアスター教 古代ペルシャ発祥の宗教。聖典は『アヴェスター』。もともとイラン地方で信仰されていた多神教をもとに、アーリア人の神官であったザラスシュトラ(ゾロアスター)が開祖。最高神アフラマズダーを信仰する。
神道 日本の伝統宗教。開祖や経典等はなく、伝統的な民俗信仰・自然信仰・祖霊信仰を基盤に発生した民族宗教。国内では同時にひろまった仏教と調和しながら発展したが(神仏習合)、近代では明治新政府によって分離政策がとられた(神仏分離令)。第二次世界大戦中は国家神道とされた。

 

ざっくりと成立過程と布教分布を確認しておけば大丈夫です。

 

建築様式

世界遺産の多くはヨーロッパに偏在していますので、ヨーロッパの遺産を理解することが合格への近道です。そして、ヨーロッパの遺産を学習する際、その時代ごとの建築様式を理解しておくと何かと便利です。

3級の時点ではあまり必要ありませんが、さらに上級を目指す方であれば必須の知識になりますので余裕がある方は確認してみてください。

 

ギリシャ建築 古代ギリシャで発展した調和と均整の美しさが特徴の建築様式。柱の様式により、荘厳で力強いドーリア式、優美なイオニア式、華麗なコリント式などに分類される。建築例:パルテノン神殿
ビザンツ建築 人々が集まる場所を起源とするパシリカ式、円形で要素が中心に向かう集中式などがある。外観は質素、内部が豪華なのが特徴。建築例:アヤ・ソフィア
ロマネスク建築 10世紀~12世紀。パシリカ式の発展形。壁が厚く窓が小さい。重厚な印象。聖堂建築の基本となった。建築例:ピサの大聖堂
ゴシック建築 12世紀~15世紀。高い天井、大きな窓、明るさの追求が特徴。ステンドグラスを使用。建築例:ノートルダム大聖堂
ルネサンス建築 16世紀~17世紀はじめごろ。古代ローマやギリシャ建築の復活。幾何学文様、左右対称の造形などの特徴がある。建築例:サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂
バロック建築 17世紀初め~18世紀初めごろ。凹凸、曲面を駆使した過剰な装飾が特徴。大航海時代を通じて南米にも影響を与えた。建築例:ヴェルサイユ宮殿
ロココ建築 バロックと同時期だがやや外観の装飾を抑えており、室内装飾に特徴がある。明るく優しい色彩が特徴。建築例:サンスーシ宮殿
近代建築 新素材(鉄・セラミック)などが誕生し建築技術が進歩。装飾性を排した合理的な建築様式などが登場。建築例:ブラジリア大聖堂

 

他には「ネオ・バロック様式」や「新古典主義(クラシックリバイバル)」などの建築様式もありますが、そこまで細かく覚える必要はありません。

 

英語で読んでみよう!の対策

公式テキストには、英語で世界遺産について解説しているコラムがあります。基礎的な英語しか出題されませんし、試験に出だとしても1問~2問なので合否に影響はなく無視してもOKです。

満点を狙っている方や心配性の方は何度か読んだ後に、日本語訳を確認しておきましょう(世界遺産検定の公式ホームページに日本語訳が回答が掲載されているページがあります)

 

時間がない人や、英語が苦手な人は飛ばしてOKな項目です

時事問題対策(更新日:2020年11月10日)

時事問題への対策は、ユネスコで開催されている世界遺産委員会の動向を把握しておくことが基本になります。

直近では2020年6月に中国・福建省で開催予定だったものの、新型コロナウイルス感染症が流行しているため開催中止となり、最終的には2021年に延期開催されることになりました。

日本からは暫定リストの中から『奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島』が推薦される予定になっていました。

なお2019年の世界遺産委員会(第43回)はアゼルバイジャンの首都バクーで開催され、国内では新たに百舌鳥・古市古墳群-古代日本の墳墓群-』が世界遺産に登録されました。

2019年の世界遺産委員会の詳細については、世界遺産検定公式サイトから決定事項の概要をまとめた資料が掲載されているので確認しておきましょう ⇒ 2019年世界委員会

 

直近の開催都市、次回の開催都市、そして日本の新規登録遺産については最低限おさえておきましょう。また、あらたに危機遺産リストに登録されてしまったものについても注目です。

 

問題演習について

問題演習については、以前に紹介したように過去問に当たるのが一番です。

もっとも試験の基準点をクリアするだけであれば深入りをする必要もないので、最新版を1冊買って出題形式に慣れて置けば十分かと思います。

どういった内容について問われるのか、どういった選択肢が用意されているのか・・・について気にしながら解いていきましょう。

また、本番を想定して「時間を計ってみる」「静かな環境で取り組んでみる」ことをお勧めします。

 

 

 

当サイトでは、オリジナル問題を作製して、問題演習をサイト内でできる環境を整えていく予定です。今後にご期待ください!

 

3級合格後は上位級に挑戦しよう

3級に見事合格したら、間をあけずに上位級に挑戦してみましょう!なお1級については2級の合格が受験資格になりますので、3級合格後はかならず2級に挑戦することになります。

上位級についてそれぞれの特徴を簡単に説明します。今後の参考にしてください。

 

世界遺産検定2級

世界遺産検定2級では、対象となる海外の世界遺産が300件に拡大します。なじみの薄い世界遺産も出題範囲に出てきますので、根気よく覚えていきましょう。

3級合格の実力があれば、合格までの学習時間は2週間~1ヶ月程度になります(確保できる時間によりますのであくまで目安です)。とくに「世界遺産の基礎知識」や「日本の登録遺産」の部分については、3級試験で学んだ知識をそのまま活用できます。

3級試験と比べて問題自体が難化しているわけではないため、単純に試験範囲が広がった3級試験と考えておいて問題ありません。

 

 

世界遺産検定1級

世界検定1級については難易度が2級から急上昇します。難易度が上がる理由は3つあります。

 

・受験者全員が2級合格者でありその中で上位20%を取る必要があること
・出題範囲が膨大なため、要点を覚えきれないこと
・基本は知っているという前提なので、マニアックな設問が多いこと
簡単に言うと、記念受験やお試し受験、学校に言われたから受験・・・など、中途半端な動機で受験する人がいなくなり、かつ全員が2級合格者になるので受験層が変わります。極端に若い人(学生)が少なくなり、シニア層や社会人が増える印象です。
また、試験時間に比例して問題数も増え、また合格基準点も70%に上がるので本番では集中力や回答のスピードが求められます。
すべての世界遺産が出題対象になるので、はっきりいって覚えきれません。とはいえ、公式テキストの赤字や太字だけをおぼえようとしても、そういった部分は基礎的な部分と解釈されるのか、あまり素直に出題されないというのも厄介です。
独学でも合格は可能ですが、攻略法といういうか勉強する際にはちょっとしたコツがあるので、それについては別の機会に記事にしたいと思います。

 

世界遺産検定1級マイスター

認定率こそ約5割と高いものの、「すべての設問が論述形式であること」「受験資格が1級合格者であること」などを踏まえると、簡単な試験ではありません。

また明確な試験範囲というものがないので、対策を立てるのも難しいです。また、単純に受験料が高いので、失敗をすると経済的にもダメージです。

 

管理人自身も2021年7月のマイスター試験を受験予定です。合格出来たらあらためて報告したいと思います。

おわりに:管理人からのメッセージ

全10回のせかけん講座はいかがだったでしょうか。

サイト内で解説していることを完全に理解いただければ、(公式テキストを用いなかったとしても)試験での合格基準点を超えることは可能だと思います。また、本サイトは公式テキストで学習する際の予習、あるいは復習用としても活用いただけます。

 

本編につきましてはコレで終了となりますが、継続的に勉強法や時事ネタについてはコラムにてブログ形式で掲載していきます。また、本編の講座についても定期的にアップデートをしていく予定です。

 

講座の内容についてご不明な点や改善のご提案がありましたら、今後のサイト作りの参考にさせていただきますので、ぜひコメントをお寄せください。

 

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