【合格講座9回目】海外の世界遺産(アメリカ大陸・アフリカ・オセアニアの登録遺産)

合格講座

合格講座の9回目です。

前回は、ヨーロッパにある世界遺産について学習しました。とくにイタリア、英国、スペイン、フランス、ドイツの五か国でヨーロッパの試験範囲の大半を占めますので、重点的に復習をしておきましょう。

 

 

今回は残りの地域、アメリカ大陸、アフリカ諸国、そしてオセアニアの世界遺産について学習していきます。

 

引きつづき要点を絞って解説していきますので、キーワードに注目しながら確認していきましょう。

 

【合格講座9回目】海外の世界遺産(アメリカ大陸・アフリカ・オセアニアの登録遺産)

アメリカ大陸

北米

登録名 グランド・キャニオン国立公園
所属国と分類 アメリカ・自然遺産
キーワード コロラド川/先カンブリア時代
重要ポイント コロラド川が600万年の歳月をかけて堆積層を侵食し、岩の風化などによって生まれた広大な渓谷である。赤茶けた大地が特徴的。先カンブリア時代以降20億年間の異なる地層がみられる。
補足 谷底と崖の上の標高差が大きいため、植物の垂直分布がみられる。
登録名 自由の女神像
所属国と分類 アメリカ・文化遺産
キーワード 独立100周年/ギュスターヴ・エッフェル/独立宣言書
重要ポイント アメリカ独立100周年を祝ってフランスから寄贈された像。風の強い海沿いに建てることは困難を極めたが、エッフェルが難題を解決した。自由の女神の左手には独立宣言書、右手には希望を意味するたいまつが掲げられている。
補足 エッフェルはパリの「エッフェル塔」の設計者として有名。
登録名 ハワイ火山国立公園
所属国と分類 アメリカ
キーワード マウナ・ロア山/キラウエア山/ホットスポット
重要ポイント 世界最大規模の活火山であるマウナ・ロア山や、世界で最も活動的な火山であるキラウエア山などから構成される。随所にマグマの噴出場所(ホットスポット)を確認することができる。
補足 ハワイの火山は性質上、予測や観測がしやすいと言われている。
登録名 カナディアン・ロッキー山脈国立公園群
所属国と分類 カナダ・自然遺産
キーワード ルイーズ湖/コロンビア大氷原/バージェス頁岩
重要ポイント ロッキー山脈のカナダ側2200㎞にわたる山岳地帯。ルイーズ湖や、コロンビア大氷原など様々な氷河地形が点在する。ヨーホー国立公園内のバージェス頁岩からは5億年以上前の化石が多数発見され、重要な標本となっている。
補足 4つの国立公園と3つの州立公園が世界遺産を構成している。

 

アメリカは自然遺産の登録が多いのが特徴です。

 

中米

登録名 エル・ビスカイノ鯨保護区
所属国と分類 メキシコ・自然遺産
キーワード バハ・カリフォルニア半島/クジラの繁殖地/砂漠気候
重要ポイント メキシコ北西部にある自然保護区。太平洋岸の海域と、内陸に広がる砂漠、高原地帯から構成される。バハ・カリフォルニア半島にある2つの潟(ラグーン)がクジラの繁殖地として有名。
補足 陸地では砂漠気候に適応した動植物が独自の生態系を形成している。
登録名 チチェン・イツァの古代都市
所属国と分類 メキシコ
キーワード マヤ文明/トルテカ文明/高度な天文知識
重要ポイント マヤ文明の中心拠点であったチチェン・イツァの遺跡群。高度な天文知識を示す遺構が数多く残っている。マヤ文明の遺構が残る南部と、あとに興ったトルテカ文明の遺構がのこる北部に分けられる。
補足 ククルカン(ケツァルコアトル)神殿が経つ階段上のピラミッドが有名。
登録名 メキシコ・シティの歴史地区とソチミルコ
所属国と分類 メキシコ・文化遺産
キーワード アステカ帝国/テノチティトラン/コルテス
重要ポイント かつてのアステカ帝国の都がテノチティトラン。16世紀にスペインの征服者コルテスの軍勢により街が廃墟となったが、その廃墟の上に新しい都市(メキシコシティ)が建設された。わずかではあるがアステカ時代の痕跡が残る。
補足 ソチミルコは先住民の言葉で「花の野の土地」を意味する。

 

中米のマヤ文明、アステカ文明、そして南米のインカ文明については違いを整理しておきましょう。前者2つは紀元前から中世まで続いた息の長い文明ですが、インカ文明(インカ帝国)は15世紀~16世紀までの短い期間の文明です。

 

南米

登録名 中央アマゾン自然保護区群
所属国と分類 ブラジル・自然遺産
キーワード 「バルゼア」/「イガポー」
重要ポイント ブラジル北西部に位置するアマゾン川流域最大の自然保護区群。増水時に水につかる浸水林「バルゼア」や、常に水につかっている湿地林「イガポー」などが特徴で、豊かな生物多様性を誇る。
補足 アマゾンマナティーなど、多くの絶滅危惧種が生息している。
登録名 ブラジリア
所属国と分類 ブラジル・文化遺産
キーワード ジュセリーノ・クビチェック/オスカー・ニューマイヤー/三権広場
重要ポイント ジュセリーノ・クビチェックが発案した首都移転計画により誕生した近代都市。建築家オスカー・ニューマイヤーによって設計された。三権広場には、連邦議会議事堂、最高裁判所、大統領府などが並んでいる。
補足 上空からみると飛行機の形をしており、機首にあたる部分に三権広場がある。
登録名 ロス・グラシアレス国立公園
所属国と分類 アルゼンチン・自然遺産
キーワード 氷河地帯/ウプサラ氷河/偏西風
重要ポイント アルゼンチン南端にある国立公園。氷河地帯と草原地帯からなる。氷河の中で最大のウプサラ氷河や、最も動きが活発なペリト・モレノ氷河が有名。偏西風がアンデス山脈にぶつかり大雪を降らせることで巨大氷河を形成する。
補足 稀少な鳥類の生息地となっており、豊かな生態系がみられる。
登録名 イグアス国立公園
所属国と分類 アルゼンチン・ブラジル
キーワード イグアス川/別の世界遺産/ガルガンタ・デル・ディアブロ
重要ポイント イグアス国立公園はアルゼンチンとブラジルの国境を流れるイグアス川に広がる熱帯雨林地帯。最大の見どころはイグアスの滝で、最奥部にはガルガンタ・デル・ディアブロ(悪魔ののど笛)と呼ばれる滝がある。
補足 両国がそれぞれ別の世界遺産として登録。危機遺産になった過去がある。
登録名 ガラパゴス諸島
所属国と分類 エクアドル・自然遺産
キーワード チャールズ・ダーウィン/種の起源/フィンチ
重要ポイント 博物学者ダーウィンの『進化論(種の起源)』で有名な絶海の孤島。多様かつ得意な生態系がみられる。島の名の由来はゾウガメ(スペイン語でカラパゴ)から。2007年から2010年にかけて危機遺産に登録されていた。
補足 ダーウィンは島にいるフィンチなどを観察して進化論のアイデアを得た。
登録名 ラパ・ニュイ国立公園
所属国と分類 チリ・文化遺産
キーワード パスクア島/長耳属/「フリ・モアイ」
重要ポイント 一般的にイースター島と呼ばれるが、正式名称はパスクア島。ポリネシア系の長耳属がモアイ建造をはじめたが、のちに移住してきた短耳属と争いがおこり、お互いのモアイを倒しあう「フリ・モアイ」が起こった。
補足 モアイ建造の理由は「先祖を祀るため」とする説が有力である。
登録名 ナスカとパルパの地上絵
所属国と分類 ペルー・文化遺産
キーワード 年間降水量が少ない/ナスカ文化/幾何学文様
重要ポイント ナスカ文化との関連性が指摘されている地上絵。年間降水量が少ない地域であったため、絵が消えずに残った。70以上の動植物の絵、700本以上の幾何学文様などがある。
補足 20世紀になって発見された。考古学上最大の発見のひとつとされる。
登録名 マチュ・ピチュ
所属国と分類 ペルー・文化遺産
キーワード インカ帝国/灌漑施設/ピサロ
重要ポイント インカ帝国時代に築かれた山岳都市。充実した灌漑施設や、「太陽の神殿」などの天文技術の高さが特徴。手つかずの自然が残されている点が評価され、複合遺産として登録された。
補足 インカ帝国はスペインの征服者ピサロによって滅亡した。
登録名 ポトシの市街
所属国と分類 ボリビア・文化遺産(危機遺産)
キーワード 価格革命/アマルガム法
重要ポイント アンデス山脈の中腹にある鉱山都市。16世紀に世界最大級の銀鉱脈が発見され、アマルガム法と呼ばれる当時最新の精錬技術で世界の銀産出量の半分を算出した。のちのヨーロッパにおける価格革命の要因となった。
補足 鉱山管理の不備により2014年から危機遺産に登録されている。

 

アルゼンチンとブラジルの国境付近にある「イグアス国立公園」は、それぞれの国が別に申請している世界遺産です。スペイン・フランスの「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」と同じパターンですね。

アフリカ

登録名 アワッシュ川下流域
所属国と分類 エチオピア・文化遺産
キーワード アウストラロピテクス/『ルーシー』
重要ポイント 人類の起源である猿人アウストラロピテクスの骨格が見つかった流域。約350万年前のものとされる。女性と思われる骨格で『ルーシー』と名付けられ、貴重な標本となっている。
補足 同地域ではさらに古い猿人(ラミダス猿人)の化石も発見されている。
登録名 ラリベラの岩の聖堂群
所属国と分類 エチオピア・文化遺産
キーワード ラリベラ/ギョルギス聖堂
重要ポイント 西暦900年ごろに成立したサグヴェ朝において、第7代国王のラリベラが作った都市。都を第二のエルサレムにすることを目指し、聖地にちなんだ地名を各地に付けるとともに、全部で11か所にのぼる聖堂群を建設した。
補足 聖堂群の中で最も新しいとされるギョルギス聖堂が有名である。
登録名 ヴィルンガ国立公園
所属国と分類 コンゴ民主共和国・自然遺産(危機遺産)
キーワード マウンテンゴリラ/エドワード湖
重要ポイント 絶滅危惧種であるマウンテンゴリラの保護を目的に設立されたアフリカ最古の国立公園。公園中央にあるエドワード湖にはカバも多く生息していたが、内戦や密猟の影響でゴリラ・カバの個体数は激減し危機遺産となった。
補足 全世界のマウンテンゴリラの半数近くが生息している。
登録名 ヴィクトリアの滝
所属国と分類 ザンビア・ジンバブエ・自然遺産
キーワード モシ・オ・トゥニャ/サバナ気候/セーブルアンテロープ
重要ポイント ザンビアとジンバブエの国境地帯に広がる瀑布。19世紀に英国人探検家リヴィングストンが命名。現地語では「モシ・オ・トゥニャ」と呼ばれていた。一帯はサバナ気候に属する。900以上の植物と多様な動物が暮らしている。
補足 世界三大瀑布の1つ。国獣であるセーブルアンテロープも見られる。
登録名 大ジンバブエ遺跡
所属国と分類 ジンバブエ・文化遺産
キーワード アクロポリス/石の家
重要ポイント 13世紀にショナ族が築いた石造建築の都市で「アクロポリス(王の都市)」や「谷の遺跡」などの遺構が残る。現地の言葉で「石の家」をあらわすジンバブエが国名の由来となった。
補足 遺跡からは中国製の陶器やアラビアの貨幣などが見つかっている。
登録名 ゴレ島
所属国と分類 セネガル・文化遺産(負の遺産)
キーワード 奴隷貿易の最大の拠点/三角貿易/奴隷の家
重要ポイント 首都ダカールの南東沖にある小島。15~19世紀の間、アフリカ沿岸部における奴隷貿易の最大の拠点であった。島の東海岸には奴隷を収容した奴隷の家が残っている。負の遺産かつ最初に登録された世界遺産の1つである。
補足 三角貿易の拠点となり、イギリスやフランスに莫大な富をもたらした。
登録名 セレンゲティ国立公園
所属国と分類 タンザニア・自然遺産
キーワード 果てしない草原/草食動物の大移動
重要ポイント 地球上でもっとも多くの哺乳類が暮らすと言われる地域で、セレンゲティとは果てしない草原を意味するマサイ語。雨季が終わるころに草食動物の大移動がみられる。肉食動物が草食動物を狙う食物連鎖が繰り広げられている。
補足 生息する動物は300万頭にものぼる
登録名 ンゴロンゴロ自然保護区
所属国と分類 タンザニア・複合遺産
キーワード ンゴロンゴロ・クレーター/オルドゥヴァイ渓谷/マサイ族
重要ポイント 世界の動物園と称される豊かな生態系を誇る自然保護区。火山の噴火でできたンゴロンゴロ・クレーターの平野は、肉食哺乳類の生殖密度が高い。オルドゥヴァイ渓谷ではアウストラロピテクスの化石も見つかっている。
補足 古くからマサイ族の生活圏であった。
登録名 伝説の都市トンブクトゥ
所属国と分類 マリ共和国・文化遺産(危機遺産)
キーワード マリ帝国/マドラサ/サンコーレ・モスク
重要ポイント 13世紀のマリ帝国時代に黄金の都と称された都市。16世紀のソンガイ王国時代に最盛期を迎え、多くのモスク、マドラサ(高等教育機関)などが建造された。サンコーレ・モスクにはアフリカ最初の大学が設置された。
補足 国内の政情不安を理由に2012年から危機遺産に登録されている。
登録名 ロペン島
所属国と分類 南アフリカ・文化遺産(負の遺産)
キーワード アパルトヘイト/政治犯を収監する刑務所/ネルソン・マンデラ
重要ポイント もともとは流刑地として使われていた島だが、20世紀においてアパルトヘイト政策に反対する政治犯を収容する刑務所として利用された。のちにノーベル平和賞を受賞する黒人大統領ネルソン・マンデラも投獄歴がある。
補足 アパルトヘイト(白人優位の人種分離政策)は1991年に撤廃された。

 

アフリカの遺産は「複合遺産」「負の遺産」そして「危機遺産」と、バラエティに富んでおり、覚えるのに苦労します。とっつきにくい場合は、後回しにして他の地域を優先させましょう。

 

オセアニア

登録名 ウルル、カタ・ジュタ国立公園
所属国と分類 オーストラリア・複合遺産(文化的景観)
キーワード ウルル(エアーズロック)/一枚岩/アボリジニ
重要ポイント オーストラリアの大陸中央部に位置する一帯。造山活動と地殻変動によって形成された巨大岩石群が含まれる。ウルルは世界で2番目に巨大な一枚岩で、傘下によって岩肌が赤く見えるのが特徴。複合遺産として登録されている。
補足 アボリジニ先住民族)の1つ、アナング族の聖地。
登録名 グレート・バリア・リーフ
所属国と分類 オーストラリア・自然遺産
キーワード サンゴ礁/ジュゴン/サンゴの白化
重要ポイント オーストラリア北東部に位置する世界最大規模のサンゴ礁。ジュゴンなどの絶滅危惧種が生息するなど、豊かな生態系がみられる。近年、海水温の上昇にともないサンゴの白化が進行し、保全対策の強化が求められている。
補足 危機遺産リスト入りも検討されている。
登録名 シドニーのオペラハウス
所属国と分類 オーストラリア・文化遺産
キーワード ヨーン・ウゥツォン/最も新しい建築物
重要ポイント シドニーのシンボルになっているコンサートホール。デンマークの建築家ヨーン・ウゥツォンによる設計。完成度の高さから近代建築の代表作とされるが、工事が難航して建設費がかさむなど、問題点も大きかった。
補足 現在登録されている世界遺産の中では最も新しい建築物である
登録名 トンガリロ国立公園
所属国と分類 ニュージーランド・複合遺産(文化的景観)
キーワード マオリ/世界で初めて文化的景観
重要ポイント 先住民族マオリの聖地であり、古くから信仰を集めてきた地域。国鳥のキウイなど様々な動植物が生息している。はじめは自然遺産として登録されたが、のちに世界で初めて文化的景観の価値が認められ、複合遺産となった。
補足 トンガリロ山、ナウルホエ山、ルアペル山の3つの活火山で構成される。

 

シドニーの「オペラハウス」は登録基準1のみで登録されています。同じ例にはインドの「タージ・マハル」があります。

まとめ

9回目の講義はいかがだったでしょうか。今回はアメリカ大陸、アフリカ諸国、そしてオセアニアの世界遺産について要点を解説しました。

この地域の登録遺産については、テキストでの扱いがわりと均等で、なかなか重点を絞ることが難しいのが正直なところです。自然遺産や複合遺産、そして危機遺産登録されているものを中心に復習していきましょう。

 

次回はいよいよ最終回の講義です。いままでのふりかえりのほか、いくつかの補足事項がありますので、一気に解説していきます。

 

 

 

 

ブログランキングに参加しています。応援よろしくお願いします!
にほんブログ村 旅行ブログ 世界遺産へ

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました