【世界遺産検定3級講座】世界遺産の登録基準をわかりやすく覚えよう(Ⅰ〜Ⅹ)

博士、世界遺産ってどんな基準で選ばれてるの?
「きれいだから」とか「古いから」ってだけじゃないんだよね?

その通りだよ、せか丸。世界遺産になるには、ユネスコが定めた「10の登録基準」のうち、
少なくとも1つ以上を満たさなければならないんだ。登録基準については以前も取り上げたけど大事な部分だから、復習がてらにもう一度見直してみよう。
登録基準とは?
世界遺産条約の運用ガイドラインでは、文化遺産・自然遺産・複合遺産を問わず、共通の10項目の基準を設けています。
ローマ数字でⅠ〜Ⅹ(1〜10)まであり、Ⅰ〜Ⅵが文化遺産、Ⅶ〜Ⅹが自然遺産に関係しています。
登録基準の分類
- 文化遺産:Ⅰ〜Ⅵ
- 自然遺産:Ⅶ〜Ⅹ
それぞれの基準には「キーワード」があり、漢字二文字でイメージすると覚えやすいよ。

10個もあるのか〜!覚えるの大変そう…。でも漢字二文字でまとめられるならいけそう!

そうだね。では、文化遺産のⅠ〜Ⅵ、自然遺産のⅦ〜Ⅹを順に見ていこう。
Ⅰ〜Ⅵ:文化遺産の基準
- Ⅰ.人類の創造的才能の傑作(キーワード:創造)
→ 例:法隆寺地域の仏教建造物、パルテノン神殿など。 - Ⅱ.文化交流を示す重要な証拠(キーワード:交流)
→ 例:古都京都の文化財、アーヘン大聖堂など。 - Ⅲ.文明や文化の証拠を伝える遺産(キーワード:証明)
→ 例:マチュピチュ、ナスカの地上絵。 - Ⅳ.建築や技術の発展を示す典型例(キーワード:建築)
→ 例:姫路城、コロッセオ。 - Ⅴ.人と環境の関係を示す代表例(キーワード:景観)
→ 例:白川郷・五箇山の合掌造り集落、バリの棚田。 - Ⅵ.歴史・思想・信仰と結びつく遺産(キーワード:信仰)
→ 例:厳島神社、アウシュビッツ強制収容所。
文化遺産の基準は、人間の創造性や精神性に関するものが中心です。
とくにⅣとⅤは似ていますが、「建築」=人の技術、「景観」=自然との調和と区別しましょう。

たしかに、「建物」なのか「風景」なのかで意味が違うね。
「信仰」っていうのも世界遺産らしいな〜!

そうだね。宗教や精神の影響を示すⅥは、文化の“心”を映す基準だよ。
Ⅶ〜Ⅹ:自然遺産の基準
- Ⅶ.卓越した自然美や美的価値をもつ(キーワード:景観)
→ 例:グランド・キャニオン、屋久島。 - Ⅷ.地球の歴史を示す代表例(キーワード:地史)
→ 例:恐竜化石地帯、ジオパークなど。 - Ⅸ.生態系の進化を示す重要な例(キーワード:進化)
→ 例:ガラパゴス諸島、知床。 - Ⅹ.生物多様性の保護に重要(キーワード:生態)
→ 例:小笠原諸島、コモド国立公園。
自然遺産は「美しさ」と「科学的価値」の両方が重視されます。
とくにⅦは見た目の美しさ、Ⅷ〜Ⅹは地質や生態など学術的な要素が強いのが特徴です。

なるほど〜!自然遺産って「キレイ」だけじゃなくて、「地球の成り立ち」も大事なんだね!

そう。自然遺産の基準Ⅷ〜Ⅹは“地球の記録”と呼ばれることもあるんだよ。
文化と自然の両方をもつ複合遺産
一つの遺産が文化的・自然的価値の両方をもつ場合は、複合遺産と呼ばれます。
たとえば、マチュピチュ(ペルー)は文化的にも自然的にも重要で、複数の基準に該当します。
登録基準は1つ以上でも、複数を満たす遺産も多くあります。
たとえば日本の「屋久島」はⅦとⅨ、「白神山地」はⅨとⅩに該当します。
登録基準を覚えるコツ
世界遺産検定3級では、「基準番号+キーワード」の組み合わせで問われることが多いです。
以下のように漢字二文字で覚えると便利です。
番号 | キーワード | 覚え方のポイント |
---|---|---|
Ⅰ | 創造 | 人類の才能・芸術性 |
Ⅱ | 交流 | 文化の伝わり方・影響 |
Ⅲ | 証明 | 文明や歴史の証拠 |
Ⅳ | 建築 | 建物や構造の技術 |
Ⅴ | 景観 | 人と自然の調和 |
Ⅵ | 信仰 | 宗教や思想と結びつく |
Ⅶ | 景観 | 自然の美・壮大な景色 |
Ⅷ | 地史 | 地球の成り立ちを示す |
Ⅸ | 進化 | 生態系や生命の変化 |
Ⅹ | 生態 | 生物多様性の保全 |

漢字で覚えるとスッキリするね!「創造・交流・証明・建築・景観・信仰」…リズムで覚えられそう!

その覚え方はとてもいいね。基準は数字よりも“内容”を理解することが大切なんだ。
試験でのポイント
3級試験では、「どの基準に該当するか」を問う問題がよく出ます。
代表的な遺産と基準をセットで覚えておくと安心です。
- 法隆寺(Ⅰ)=創造
- 古都京都(Ⅱ)=交流
- マチュピチュ(Ⅲ)=証明
- 姫路城(Ⅳ)=建築
- 白川郷(Ⅴ)=景観
- 厳島神社(Ⅵ)=信仰
- 屋久島(Ⅶ・Ⅸ)=景観・進化
- 白神山地(Ⅸ・Ⅹ)=進化・生態
まとめ
- 登録基準はⅠ〜Ⅹの10項目(Ⅰ〜Ⅵ=文化、Ⅶ〜Ⅹ=自然)。
- 基準は1つ以上満たすことが条件。
- 複合遺産は文化・自然の両基準に該当。
- 漢字二文字で覚えると整理しやすい。

博士、これで10個全部覚えられたよ!なんだか世界遺産の“選ばれ方”がわかってきた気がする!

その通りだよ、せか丸。世界遺産は“なんとなくすごい”ではなく、
きちんとした普遍的価値(OUV:Outstanding Universal Value)を持っていることが求められるんだ。
登録基準は、その価値を客観的に示すためのものなんだよ。
登録基準と「普遍的価値」の関係
世界遺産の選定では、「登録基準に合う」だけでは不十分です。
それが人類全体にとって重要な価値=普遍的価値であることを証明しなければなりません。
つまり、基準は「条件」、普遍的価値は「理由」です。
たとえば姫路城の場合、単に古い城だからではなく、
日本の木造建築技術の完成形として人類史上に残る価値があるから登録されているんですね。

なるほど!「基準」はチェック項目で、「普遍的価値」は本当の理由なんだね!
なんか、試験の合格理由みたいだな(笑)

その例えはうまいね(笑)。
まさに“基準を満たす”だけでなく、“なぜそれが世界の宝なのか”を説明できることが大切なんだ。
基準を理解することの意義
登録基準を知ることは、単なる暗記ではなく、
世界遺産が何を伝えようとしているのかを理解する第一歩です。
たとえば「創造」や「信仰」という言葉を通して、
その土地の人々が何を大切にしてきたかを感じ取ることができます。
試験対策としては、数字よりも“言葉の意味”を意識して覚えるのがコツです。

うんうん、たしかに「創造」って聞くだけで、人の手が生み出したすごさを思い浮かべられるしね。
覚えるのがちょっと楽しくなってきた!

その気持ちが大事だよ、せか丸。
世界遺産検定は“覚える試験”じゃなくて、“感じ取る学び”なんだ。
だからこそ、楽しみながら基準を理解していこうね。
試験対策のまとめ
- 登録基準はⅠ〜Ⅹの10項目。文化=Ⅰ〜Ⅵ、自然=Ⅶ〜Ⅹ。
- 漢字二文字で「創造・交流・証明・建築・景観・信仰・景観・地史・進化・生態」。
- 複合遺産は文化+自然の両基準に該当する。
- 基準は「条件」、普遍的価値は「理由」。
- 数字暗記よりも“意味”の理解が合格のカギ。
まとめ
- 登録基準は世界遺産の“選ばれる理由”を示す重要な指標。
- 文化遺産は人間の創造や精神性、自然遺産は地球の美と科学的価値を表す。
- 「漢字二文字」で整理しながら覚えると効果的。
- 基準を知ることは、世界遺産の魅力をより深く理解することにつながる。

博士、今日の話で世界遺産の「すごさの理由」がわかった気がする!
次はどんな基準で守られているのかも知りたいな!

いいね。その流れで次回は「世界遺産の保全と危機遺産リスト」について学んでいこう。
登録されたあとの“守り方”がわかると、もっと世界遺産が好きになるはずだよ。
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