【世界遺産検定4級講座】時事対策の決定版!世界遺産委員会最新レポート 第47回(2025年・パリ)の決定と論点を総チェック
直近で開催された第47回世界遺産委員会(47COM)は、2025年7月6日〜16日にユネスコ本部(パリ)で開かれ、26件の新規登録、危機遺産の更新、運営・予算・方針に関する審議が行われました。ここでは、検定対策にも役立つ形で会議の要点を会話中心に整理します。
1. 開催の基本情報(いつ・どこ・だれ)
会期は2025年7月6〜16日、会場はユネスコ本部(パリ)。世界遺産委員会は、条約に基づき21か国の代表で構成され、各国からの推薦(暫定リスト→推薦書)に対し、諮問機関(ICOMOS/IUCN)の評価を踏まえて最終判断を下します。議事日程や配布資料は公式サイトで公開されています。
2. 2025年・新規登録26件の全体像
今年は合計26件(文化21/自然4/複合1)が新たにリスト入り。さらに2件の境界拡張が承認されました。ユネスコの年次ページと「New Properties」一覧に反映されています。総登録件数は更新され、世界の文化・自然の多様性が一層広がりました。
上位トピック(メディア露出が大きかった例)
- ドイツ:ノイシュヴァンシュタイン城など“バイエルンの宮殿群”の登録が国際的に報道。19世紀の宮殿文化と景観の価値が注目されました。
- インド:マラーター王国の軍事景観(Maratha Military Landscapes)が新規登録。インドの通算登録件数の更新も話題に。
- カンボジア:クメール・ルージュ期の虐殺関連3地点が負の記憶を伝える遺産として登録。近現代の惨禍を記憶にとどめる意義が示されました。
3. 危機遺産リスト:除外・継続・注視
今年は危機遺産リストから3件が除外されました。報告では、エジプトのアブ・メナ、リビアのガダーミス旧市街、マダガスカルのアツィナナナの雨林群が改善を認められたと整理されています(総数は53件へ)。ただし「除外=課題解決完了」という意味ではなく、管理や監視の継続が前提です。
4. 議論になった論点(時事性の高いテーマ)
4-1. 地政学・記憶の継承
近現代の虐殺・戦争・抑圧の現場をめぐる登録・表示は、年々注目が高まっています。カンボジアの関連3地点の登録は、その象徴的な事例(教育・和解・再発防止の観点)として国際報道でも扱われました。
4-2. 産業遺産・軍事景観の再評価
インドのマラーター軍事景観の登録は、産業・軍事・権力の痕跡を歴史的景観として捉え直す潮流の一例。ユネスコの「新規26件」でも地域・時代のバランスが意識されていることが読み取れます。
4-3. 観光と保全(オーバーツーリズム/気候変動)
本会期でも、サイドイベントを含め生物多様性・資源開発・投資など、保全を取り巻くグローバル課題が議論されました。観光振興と保全の両立に向け、運営指針(Operational Guidelines)の運用・改善や国際協力の枠組み強化が繰り返し確認されています。
5. 公式ドキュメントと運営(ファンド・ガバナンス)
セッションの作業文書や情報文書はユネスコ公式サイトで公開され、世界遺産基金(World Heritage Fund)の執行状況、次期予算案、諮問機関の報告、観光・教育・能力強化などの横断テーマが整理されています。受験的には「委員会の役割/諮問機関」「文書の所在(47COM Documents)」を押さえておくと得点に直結します。
6. 具体例で覚える:今年の“象徴的3テーマ”
- ノイシュヴァンシュタイン城など=“ロマン主義の宮殿景観”
→ 近代建築・芸術・観光の交点として注目。写真判別でも問われやすい。 - クメール・ルージュ関連3地点=“負の遺産の継承”
→ 記憶の継承・教育・和解。登録が時事性と直結。 - マラーター軍事景観=“権力と地形の歴史的景観”
→ 防御線・城塞群・交通路のセットで理解。
7. 次につながる視点(受験者向けアクション)
- UNESCO公式ニュースの見出し+数字(新規登録数・危機遺産件数・地域バランス)をメモ
- 「New Inscribed Properties 2025」ページで国名と登録タイプを把握。
- 47COMの作業文書で、該当国・テーマの詳細に興味を広げる。
- 国別の話題作(独・印・カンボジアなど)は、新聞社・公共メディアの要約記事を確認
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