世界遺産のこまかな分類をわかりやすく解説
世界遺産は「文化遺産」「自然遺産」「複合遺産」という大きな3分類がありますが、その中にはさらに細かい分類があります。本記事では、文化的景観、産業遺産、負の遺産、シリアル・ノミネーション、トランスバウンダリー・サイトといった重要な分類をセカ丸とイクロム博士の会話形式で解説します。
博士〜!文化遺産と自然遺産の違いはわかってきたんだけど、「文化的景観」とか「負の遺産」とか、もっと細かい言葉も出てきて混乱してるよ〜。
そうだね。世界遺産検定では、こうした細かな分類も押さえておく必要があるんだ。今日は代表的な5つを一緒に整理してみよう。
文化的景観(Cultural Landscape)
まずは文化的景観って何?普通の文化遺産とどう違うの?
文化的景観は人間と自然が一体となってつくり出した景観のことだよ。例えばイタリアの「チンクエ・テッレ」や日本の「石見銀山とその文化的景観」などは、自然環境を活かしながら人々が生活を営んできた姿が評価されている。
単なる建物や自然ではなく、「人と自然の調和」がキーワードなんだ。
単なる建物や自然ではなく、「人と自然の調和」がキーワードなんだ。
産業遺産(Industrial Heritage)
次は産業遺産!なんだか工場とかのイメージだけど…。
そのイメージで合っているよ。産業遺産は近代以降の産業活動に関わる遺産のこと。例としては日本の「明治日本の産業革命遺産」やイギリスの「ニュー・ラナーク」などがある。
技術革新や社会変化を象徴する遺産として登録されているんだ。
技術革新や社会変化を象徴する遺産として登録されているんだ。
負の遺産(Negative Heritage / Sites of Conscience)
負の遺産って、名前からしてちょっと怖い響きだね…。何を意味するの?
負の遺産とは戦争・迫害・人権侵害など、人類の悲しい歴史を伝える遺産のことだよ。例えばポーランドの「アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所」や広島の「原爆ドーム」がその代表だ。
世界遺産は美しいものだけでなく、過去の過ちを忘れないための記憶の場としても登録されるんだ。
世界遺産は美しいものだけでなく、過去の過ちを忘れないための記憶の場としても登録されるんだ。
シリアル・ノミネーション(Serial Nomination)
シリアルってシリアル食品みたいだけど(笑)、どういう意味?
シリアル・ノミネーションは複数の関連する遺産をまとめて一つの世界遺産として登録する方法なんだ。例えば「富士山−信仰の対象と芸術の源泉」では、富士山本体だけでなく周辺の神社や溶岩樹型なども含まれている。
「関連する複数の資産=ひとつの価値」として登録されるのが特徴だよ。
「関連する複数の資産=ひとつの価値」として登録されるのが特徴だよ。
トランスバウンダリー・サイト(Transboundary Site)
最後のトランスバウンダリーって、横文字で難しいなぁ…。どんな遺産なの?
トランスバウンダリー・サイトは国境をまたいで複数の国にまたがる遺産のこと。代表例は「シュトルーヴェの測地弧」(10か国にまたがる測地線)や「ピレネー山脈のペルデュ山」(スペインとフランスにまたがる自然・文化遺産)。
国際的な協力が不可欠だから、登録にも保護にも高度な調整が必要なんだ。
国際的な協力が不可欠だから、登録にも保護にも高度な調整が必要なんだ。
なぜ細かい分類があるのか?
こうして見るといろんな分類があるんだね。でも、どうしてこんなに細かく分けるの?
理由はシンプルで、世界遺産の多様性を正しく評価し、適切に守るためなんだ。
自然だけでは語れない価値、産業が残した歴史、過去の負の記憶…。それぞれの特徴を整理して登録することで、世界の記憶をバランスよく未来に残せるんだよ。
自然だけでは語れない価値、産業が残した歴史、過去の負の記憶…。それぞれの特徴を整理して登録することで、世界の記憶をバランスよく未来に残せるんだよ。
試験対策まとめ:ここを押さえよう!
世界遺産検定4級や3級では、これらの分類が出題されることもあるよ。まとめておくと…
- 文化的景観:人と自然がつくった景観(例:チンクエ・テッレ)
- 産業遺産:近代産業に関する遺産(例:明治日本の産業革命遺産)
- 負の遺産:悲しい歴史を伝える遺産(例:アウシュヴィッツ、原爆ドーム)
- シリアル:関連する複数資産をまとめて登録(例:富士山)
- トランスバウンダリー:国境を越える遺産(例:シュトルーヴェの測地弧)
これを理解しておけば、用語問題にも実例問題にも対応できるよ。
まとめ:多様性こそが世界遺産の魅力
博士、分類を知ると「世界遺産=お城や自然」ってイメージだけじゃないってわかってきたよ!
その通り。世界遺産は人類の記憶・自然の価値・産業や歴史の教訓など、多様な面を含んでいるんだ。こうした分類を理解することは、検定対策にもなるし、世界遺産の奥深さを知ることにもつながるんだよ。
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