【世界遺産検定4級講座】始皇帝陵と兵馬俑坑|中国統一王朝の壮大な遺構
中国・陝西省西安郊外に広がる始皇帝陵(しこうていりょう)とその周囲から出土した兵馬俑坑(へいばようこう)。
秦の始皇帝が築いた巨大な陵墓で、実物大の土製兵士・馬が整然と並ぶ光景は、古代国家の軍事・技術・統治のスケールを物語ります。
4級では所在・登録年・区分・評価基準に加え、俑の種類(士・将・騎馬・戦車)/坑の違い(1~3号)/彩色と保存課題を押さえましょう。
写真で見ると“無数の土の兵隊”がズラ~ッと並んでるよね。あれ全部実物大?
そう、基本は等身大。身長は武将の方がやや高く作られているよ。木製の槍や弓、青銅の矢じりなどの武器も実装され、戦闘隊形に配置されているんだ。
登録のキホン(4級ここだけ)
- 所在国:中華人民共和国(陝西省・西安臨潼)
- 正式名:Mausoleum of the First Qin Emperor(始皇帝陵)
- 区分:文化遺産
- 登録年:1987年
- 評価基準:(i)(iii)(iv)
“地下軍団”の正体 ― 兵馬俑と各号坑
始皇帝陵の東側などから発見された兵馬俑坑は、宮城を守る地下の軍隊と解釈されています。主な坑は次の3つ。
- 1号坑:最大規模。長方形の坑に歩兵・戦車隊が整然と並ぶ。俑の多くは実戦配列(先頭に弓兵、後方に長槍兵など)。
- 2号坑:騎馬隊・弩兵・歩兵が組合わさった複合部隊。戦術的な多様性を示す。
- 3号坑:司令部(指揮所)とされる小規模坑。軍の中枢機能を表す。
俑って、もともとはカラフルだったってホント?
本当だよ。発掘直後は紫・赤・青・緑などの彩色が残っていたけれど、空気に触れると顔料を定着させていた漆層がはがれて色が消えやすい。だから最近は保全環境を整えてから慎重に発掘しているんだ。
秦の国家技術 ― 標準化と大量生産
俑の頭部・腕・胴などは鋳型(モールド)で標準化し、組み合わせと手作業の仕上げで個体差(表情・髪型・鎧の文様)を与えています。武器も規格化され、青銅器の合金比率や部品寸法が統一されていたことが判明。度量衡の統一で知られる秦らしい生産システムが地下軍団にも反映されています。
陵墓全体像 ― まだ“核心部”は未発掘
地表に見えるのは円錐形の封土(墳丘)。文献(『史記』など)には、地下宮殿に水銀で作った川や星空の天井描写が記されていますが、主墓室は未発掘。最新技術で非破壊調査を進め、環境制御や文化財保護の準備が整うまで大規模発掘を控える方針がとられています。
写真判別のコツ(4級)
- 長大な屋内遺構の中で、等間隔に俑が整列し、土の仕切り壁(間仕切り)で区切られる構図 → 兵馬俑坑。
- 俑の顔は各体が微妙に異なる(同じ顔の“量産”には見えない)。
- 屋根は現在展示館の巨大屋根で覆われ、室内光の写真が多い。
“兵士がいっぱい並ぶ”ってだけだと、ローマの彫像群と見間違えないかな?
ローマ彫像は白い大理石が多く、配置も美術館風。兵馬俑は土色の素地で、横長の坑に軍隊編成で整列しているのが決定的な違いだよ。
なぜ世界遺産?
- (i) 傑作:前例のないスケールと精緻な造形による葬送芸術の頂点。
- (iii) 証言:古代中国の統一国家と軍制、葬制を物語る物証。
- (iv) 典型:大規模陵墓と付随施設群という古代帝国の埋葬体系の顕著な例。
保存と課題 ― 環境制御と修復技術
彩色層の剥離を防ぐため、発掘は温湿度・酸素・光量の管理とセットで実施。化学的定着処理やミクロな支持材の導入など、俑の“色”を守る保存科学が発展しました。観光客に対しては観覧動線や坑内保護屋根の整備で遺構を守っています。
試験に出るチェックポイント
- 所在地:中国・陝西省西安(臨潼)。
- 登録年:1987年。
- 区分:文化遺産。
- 評価基準:(i)(iii)(iv)。
- 俑の構成:歩兵・騎馬兵・将軍俑・戦車(青銅車馬)。
- 各号坑の機能:1=主力、2=複合部隊、3=司令部。
- 彩色の問題:発掘後の彩色剥落→保存環境の重要性。
合言葉は「1987・文化・(i)(iii)(iv)+1主力・2複合・3司令+彩色保護」だね!
完璧。写真は横長の坑に整列する土色の等身大兵士を見たら即“兵馬俑”でいこう。
4級「ここ出る!」最終チェック
- 正式名:Mausoleum of the First Qin Emperor(始皇帝陵)
- 所在:中国・陝西省西安(臨潼)
- 区分:文化遺産/登録年:1987
- 基準:(i)(iii)(iv)
- キーワード:兵馬俑/1・2・3号坑/等身大/彩色・漆層/標準化生産
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