【世界遺産検定4級講座】サガルマータ国立公園|世界最高峰エベレストとヒマラヤ自然
ネパール北東部、クンブ地方の高地に広がるサガルマータ国立公園は、世界最高峰エベレスト(ネパール名:サガルマータ/チベット名:チョモランマ)を抱く自然遺産です。
4級では国名・登録年・区分・評価基準に加え、ヒマラヤの氷河地形と高山生態系、そしてシェルパ文化との共生が頻出ポイント。写真判別やひっかけ対策まで、会話でやさしく整理します。
博士、エベレストがある世界遺産って「エベレスト国立公園」じゃないの?
正式名は「サガルマータ国立公園」だよ。エベレストはその中核の山。名前の由来はネパール語の山名“サガルマータ”から来ているんだ。
登録のキホン(4級ここだけ)
- 所在国:ネパール連邦民主共和国
- 正式名:Sagarmatha National Park(サガルマータ国立公園)
- 区分:自然遺産
- 登録年:1979年
- 評価基準:(vii) ※超絶的な自然美・景観価値
- 範囲の特徴:標高約2,800m〜世界最高峰を含む超高所の谷・氷河・氷瀑
なぜ世界遺産?
- (vii) 自然美:八千メートル峰の峰々、鋭い氷河地形、氷河湖、氷瀑群がつくる圧倒的景観。
- 氷河が削ったU字谷、モレーン(堆石堤)、カールなど、教科書級の地形が観察できる。
- 高所に適応した希少生物(ユキヒョウ、ジャコウジカ、ヒマラヤタールなど)や高山植生帯。
- シェルパの居住・巡礼(タンボチェ僧院など)と自然環境の共生が風景の一部をなす。
「U字谷」って何?写真でどう見分けるの?
氷河が山肌を削ってできる底の平たい大きな谷のこと。空撮や広角写真で、幅広くて丸い谷に見えればU字谷の可能性が高いよ。
地理と見どころ ― “世界の屋根”を一望
公園の核心はクンブ氷河とその源をなすエベレスト周辺。南麓のナムチェ・バザールは玄関口で、エベレスト街道(エベレスト・ベースキャンプEBCトレイル)や、青い湖沼群で知られるゴーキョ方面への分岐点です。
視界に広がるのはエベレストのほか、ローツェ、ヌプツェ、アマ・ダブラムなど名峰の連なり。山腹には高山性のシャクナゲや針葉樹が帯状に分布し、標高が上がるほど低木・草原・永久雪原へと変化します。
代表生物(写真に出やすい)
- ユキヒョウ:高山域の幻のネコ科。保護の象徴。
- ヒマラヤタール:斜面を駆けるヤギに似たウシ科。
- カラフトライチョウ(ヒマライチョウ):高山帯の鳥類。
- レッサーパンダ:生息域はネパール東部に広いが、4級では「ネパールに生息する希少種」として連想可。
ひっかけ注意!試験で狙われるポイント
- 名称の混同:「エベレスト国立公園」ではなくサガルマータ国立公園。
- 区分:自然遺産(文化や複合ではない)。
- 登録年:1979年(制度初期)。
- 基準:(vii)(超絶景観)。地形や生態の説明は出ても、番号は(vii)を押さえる。
- 別名:エベレスト=サガルマータ(ネパール語)/チョモランマ(チベット語)。
保存と課題 ― 氷河湖決壊洪水(GLOF)と観光圧
温暖化による氷河後退と氷河湖の拡大は大きなリスク。氷河湖決壊洪水(GLOF)へのモニタリング、避難計画、堤防工事などの対策が進みます。
観光人気によるトレイルの踏み荒らし・廃棄物・燃料採取などにも注意が必要。ロッジでの燃料転換(薪→プロパンなど)、ゴミの持ち帰り、ゾーニングでの入山規制など、持続可能な利用がキーワードです。
写真判別のコツ(4級レベル)
- 雪を戴く鋭峰の連なり+巨大氷河谷=サガルマータらしい景観。
- アマ・ダブラムの特徴的な“両腕”のような稜線も識別のヒント。
- 高地の石積みマニ石や僧院(タンボチェ)の写真は「文化」を連想しがちだが、登録は自然遺産。
覚え方は「ネパール・1979・自然・(vii)+サガルマータ=エベレスト」でOK!
完璧。写真は雪の鋭峰列・U字谷・氷河に注目。名称の混同(サガルマータ≠“エベレスト国立公園”)に気をつけよう。
用語ミニ辞典(やさしく一言)
- U字谷:氷河が削ってできた、底の平たい丸い谷。
- モレーン:氷河が運んだ岩屑が積み上がった堤。
- GLOF:氷河湖が決壊して起こる洪水(Glacial Lake Outburst Flood)。
4級「ここ出る!」最終チェック
正式名 :Sagarmatha National Park(サガルマータ国立公園)
所在 :ネパール(ヒマラヤ、クンブ地方)
区分 :自然遺産/登録年:1979
評価基準 :(vii)(卓越した自然美)
キーワード :エベレスト=サガルマータ/チョモランマ、U字谷、ユキヒョウ
ひっかけ回避:名称の混同(“エベレスト国立公園”ではない)
コメント